１ 周囲の安全を確認する
・傷病者に近寄る前に周囲を見渡して安全であることを確認する。
２ 反応を確認する
・ 傷病者に近づき、その耳もとで「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけながら、傷病者の肩を軽くたたき、反応があるかないかを見る。
★ ポイント
・ 呼びかけに対して目を開けたり、何らかの返答または目的のある仕草がなければ「反応なし」と判断する。
・ 痙攣のような全身がひきつるような動きは「反応なし」と判断する。
・ 反応（意識）があれば傷病者の訴えを聞き、必要な応急手当を行う。
３ 助けを呼ぶ
・ 反応がなければ大きな声で、「だれか来て！人が倒れています。」と助けを求める。
・ 協力者が来たら、「119番へ通報してください」「AED（自動体外式除細動器）を持ってきてください」と要請する。
★ ポイント
・ 救助者が一人の場合や、協力者が誰もいない場合には、次の手順に移る前に、まず自分で１１９番通報することを優先する。また、すぐ近くにＡＥＤがあることが分かっている場合にはＡＥＤを取りに行く。
・119番通報すると、通信指令員が次の手順を指導します。
４ 呼吸の確認（普段通りの呼吸をしているか確認する）
・ 傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、普段通りの呼吸をしているかを判断する。
★ ポイント
●次のいずれかの場合は「普段通りの呼吸なし」と判断する。
１．胸や腹部の動きがない場合
２．約１０秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合
３．しゃくりあげるような、途切れ途切れに起きる呼吸（あえぎ呼吸）が見られる場合
５ 胸骨圧迫
・ 傷病者に普段通りの呼吸がないと判断したら、ただちに胸の真ん中を、重ねた両手で「強く、早く、絶え間なく」圧迫する。
★ ポイント
・ 胸の真ん中に、片手の付け根を置く
・ 他方の手をその手の上に重ねる。両手の指を互いに組むと、より力が集中する。
・ 肘をまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸が少なくとも５ｃｍ沈むほど圧迫する。
・ １分間に少なくとも１００回の早いテンポで３０回連続して絶え間なく圧迫する。
・ 圧迫と圧迫の間（圧迫を緩めるとき）は、胸がしっかり戻るまで十分に力を抜く
・ 小児に対しては、両手または片手で、胸の厚さの約１／３が沈むほど強く圧迫する。
６ 人工呼吸
・ ３０回の胸骨圧迫後、口対口人工呼吸により息を吹き込む
（１）気道確保
・ 傷病者ののどの奥を広げて空気を肺に通しやすくする。
・ 片手に額を当て、もう一方の手の人差し指と中指の２本をあご先（骨のある硬い部分）に当てて、頭を後ろにのけぞらせ（頭部後屈）、顎先を上げる（あご先挙上）。
★ ポイント
・ 指で下あごの柔らかい部分を圧迫しない。
（２）人工呼吸
・ 気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差指で傷病者の鼻をつまむ。
・ 口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約１秒かけて吹き込む。（傷病者の胸が持ち上がるのを確認する。）
・ いったん口を離し、同じ要領でもう１回吹き込む。
★ ポイント
・ ２回の吹き込みで、胸が上がらない場合でも、吹き込みは２回までとし、すぐ胸骨圧迫に進む。
・ 人工呼吸をしている間は胸骨圧迫は中断しますが、その中断時間はできるだけ短くする。
・ 簡易型の感染防護具（一方向弁付の感染防止用人工呼吸用マスク等）を持っていると役立ちます。
・ 傷病者に出血がある場合や、感染防護具を持っていないなどにより口対口人工呼吸がためらわれる場合には、人工呼吸を省略し、すぐに胸骨圧迫に進む。
７ 心肺蘇生（胸骨圧迫と人工呼吸）の継続
・ 胸骨圧迫を３０回連続して行った後に、人工呼吸を２回行う。
・ この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ（３０：２のサイクル）を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続ける。
★ ポイント
・ 疲れるので、もし、救助者が二人以上いる場合は、１～２分間程度を目安に交代して、絶え間なく続けることが大切
・ 心肺蘇生法を中止するのは、①救急隊に心肺蘇生法を引き継いだとき（救急隊が到着してもあわてて中止せずに、救急隊の指示に従います）。②心肺蘇生法を続けているうちに傷病者が目を開けたり、普段通りの呼吸をし始めた場合
☆ 胸骨圧迫３０回 |
☆ 人工呼吸２回
（省略する場合あり） |
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・ 胸の真ん中（胸骨の下半分）を圧迫
・ 強く（少なくとも胸が5㎝沈むまで）
・ 速く（少なくとも１分間に１００回のテンポ）
・ 絶え間なく（３０回連続）
・ 圧迫と圧迫の間は力を抜く
（胸から手を離さず）
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・ 口対口で鼻をつまみながら息を吹き込む。
・ 胸が上がる程度
・ １回約１秒かけて
・ ２回続けて試みる
・ １０秒以上かけない
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８ ＡＥＤの使用手順
・ 心肺蘇生法を行っている途中で、ＡＥＤが届いたらすぐに使う準備を始める。
・ ＡＥＤにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるように設計されており、電源が入ると音声メッセージとランプで実施すべきことを指示してくれる。
・ ＡＥＤを傷病者の近くに置き、ケースから本体を取り出す。
・ ＡＥＤのふたを開け、電源ボタンを押す。（ふたを開けると自動的に電源が入る機種もある）電源を入れたら、以降は音声メッセージとランプに従って操作する。
・ 傷病者の衣服を取り除いて胸をはだけ、電極パッドの袋を開封して電極パッドをシールからはがし、電極パッドに絵で表示されている位置に粘着面をしっかりと貼り付けます。
★ ポイント
・ 電極パッドを貼り付ける際にも、可能であれば胸骨圧迫を継続する。
・ 電極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかりと貼り付ける。アクセサリーなどの上から張らないように注意する。
・ 成人用と小児用の２種類の電極パッドが入っている場合があるが、小学生以上には成人用電極パッドを使用し、未就学児には小児用の電極パッドを使用する。成人には小児用電極パッドを使用しない。
９ 心電図の解析
・ 電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まるので、このとき、「みなさん、離れて！！」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認する。
・ 一部の機種には、心電図の解析を始めるために、音声メッセージに従って解析ボタンを押すことが必要なものがある。
・ 「ショックは不要です」などの音声メッセージが流れた場合は、ただちに胸骨圧迫を再開する。
１０ 電気ショック
・ ＡＥＤが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まる。（充電には数秒かかる）
・ 充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」と音声メッセージが流れ、ショックボタンが点灯し、充電完了の連続音がでる。
・ 充電が完了したら「ショックします。みんな離れて！！」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認し、ショックボタンを押す。
★ ポイント
・ ショックボタンを押す際は、必ず自分が傷病者からはなれ、さらに誰も傷病者に触れていないことを確認する。
・ 電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクッと動く。
１１ 心肺蘇生法を再開
・ 電気ショックが完了すると、「ただちに胸骨圧迫（心臓マッサージ）を開始してください」などの音声メッセージが流れるので、これに従って、ただち胸骨圧迫を再開する。（胸骨圧迫３０回、人工呼吸２回の組み合わせを継続）
★ ポイント
・ ＡＥＤの手順を使用する場合でも、ＡＥＤによる心電図の解析や電気ショックなど、やむを得ない場合を除いて、胸骨圧迫の中断をできるだけ短くすることが大切。
１２ ＡＥＤの手順と心肺蘇生法の繰り返し
・ 心肺蘇生法を再開して２分ほど経ったら、再び、ＡＥＤは自動的に心電図の解析を再び行うので、音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れる。
・ 以後は、＜９心電図の解析、１０電気ショック、１１心肺蘇生法の再開＞の手順を、約２分間おきに繰り返す。
・ 心肺蘇生法を中止するのは、①救急隊に引き継いだとき、②傷病者が目を開けたり、あるいは普段通りの呼吸が出現した場合。ただし、気道確保等が必要になるかもしれないので慎重に傷病者を観察しながら救急隊を待つ。吐物などによる窒息の可能性がある場合や、やむを得ずその場を離れる場合は回復体位にする。
よく理解できない場合は普通救命講習を受講しましょう。
※ このページを見て練習したくなっても生きている人を相手に心肺蘇生法の練習はしないでください。骨折等のおそれがあり大変危険です。
